アレ・モン・ココ

フランス・ボルドーでワイン醸造学を専攻する理系博士学生です。乳酸菌の研究をしています。https://note.com/cclemonde_345

留学6ヶ月弱【研究編】春の訪れ

こんばんは、サヨコです。

最近のボルドーは晴れが続き昼間は暖かく、春の訪れ(たぶんすっ飛ばして夏の到来)の気配を感じます。

天気予報を見ると今週は最高22℃、最低6℃の日があるようで、服装に気をつけないと風邪を引きそうです。

 

 

さて天気が春めいているボルドー修士2年として留学中ですが、インターンシップとして大学の研究室に所属し研究を始めて1ヶ月半経ちました。

今まで講義室で授業を受けていた前期と打って変わってやっと研究に取り組めるわけですが、私の学校生活も春めいてまいりました。

 

 

 

ボルドー大学ISVVの研究施設

ボルドー大学ISVVはワインに関係する専攻しか属しておらず、他の研究科のあるキャンパス(TalenceやVictoireなど)とは少し距離のある場所にあります。

それゆえ刑務所のような孤立感は拭えませんが、学業ボルドー大学)・産業(ワイン生産者)・企業(ワイン生産者を対象にする企業、例えばLallemandなど)がかなり密接に連携している場所でもあります。

 

そんなISVVですが、研究室(理系)の構え方は日本の大学と大きく異なります。

日本では各教授が「研究室」という名のテリトリーを持ち、その研究室ごとに教授室・学生室・実験室があります。

(特別な機械のある実験室や、研究の進捗報告などをするセミナー室は複数の研究室で共有します)

そして、各研究室に学部4年(大学によっては3年と4年)・修士1〜2年・博士1〜3年(・ポスドク)・助教が所属し、年中研究に励みます。

一方ISVVでは各教授の「研究室」なるテリトリーが存在せず、流石に教授室は存在するものの実験室は共用です(中学や高校の理科実験室のような大きな部屋を想像してください)。

また学生室には色んな教授の指導を受けている学生たちがいます。

例えば私の学生室にいる学生たちは、私以外みんな化学専門です。

そして教授が指導をするのは、インターンシップ(2ヶ月あるいは半年)を受けに来る学生と博士課程(最低3年)の学生、また滅多に見ませんがポスドクの人たちです。

ですので、教授が指導する学生の人数は日本より少ないです。

例を挙げると私の指導教員の教授は現在在籍学生?が私しかいません()

またISVVのユニークなところを挙げるとすれば、教授や学生だけではなく企業から派遣されている人たちや大学の技術員も、オフィスデスクの部屋が学生室と近かったり同じ実験室を使ったりするので、学生視点で彼らとの距離感が近いです。

 

 

 

研究室生活の様子

修士2年のインターンシップは半年が通例です。

研究プロジェクトを半年で終わらせるのは、スキルがある前提で研究方針もある程度決まっていないと少し辛いのではと思います。

実際、研究を始める前に研究プロジェクトの発表を教授陣の前で行ったのですが、これはおそらく研究方針を学生も考えやすくさせる狙いがあるのでしょう。

また、研究内容も半年かければ何かしら結果が出るだろうというものを選んでいそうです。

 

さて今私は乳酸菌の研究を行なっていて、すでに日本で3年間微生物系の研究をしていたこともあり今のところ大きなミスも無く順調です。

指導教官の教授は「結果が出てば何でもOK」で基本的に若干の放任主義な人なので、私の日本での教授の「朝10時に来れば何時に帰ってもOK」と放任主義な性格が良く似ていてかなりやりやすいです。

お互い信頼出来ているし、相性は良いです。

良かった。

学校生活にやっと春が訪れました、、、!

 

 

 

フランス(ISVV)の教育制度(理系修士課程)に対して個人的に思うこと

結論から言うと、日本の理系修士課程の方が研究者として断然教育されていると思います。

フランスでは修士1年に2ヶ月、2年に半年しか研究できず、トータル8ヶ月かけて研究室で学べるものは日本の学部4年の卒論と同レベルかそれ未満な印象を受けます。

以前パリで「フランスでは博士課程までやらないと研究者として働けない」と聞きましたが全くその通りだなと、、、

逆に言えば教授と相性が悪かっただとか、研究内容が肌に合わなかったとかいう理由で修士1年と2年で異なる研究室に所属するのが簡単なのは良いことなのかもしれませんね。

 

またISVVに限った話をするならば、ワイン醸造学の理系分野では発酵を行う微生物や、ワインの色や風味を支配する化合物、ブドウの果実の成分分析、ワインの温度調節を行うためのタンクの設計など多分野に渡るものを研究対象とします。

ISVVの修士課程には一学年30人程度しかおらず、その学生たちをさらに微生物、化学、植物学、化学工学などに分けて授業を行うには人数が少なすぎるという問題があります。

そのため全員を対象とした授業しか行うことが出来ず、専門的なことを深く学ぶことが難しいです。

 

ということもあり、微生物学の細かいところまで学べた・実験スキルを身につけられたという点では日本の修士を出て良かったと思います。

本音を言ってしまえば去年講義で学んだことが豆知識程度に使えれば良いな〜と願いつつ、今やっている研究から吸収できることを学習しまくろうと精を出しています。

講義より実験の方が性に合うようです(楽しい)。

 

 

 

私生活編も書いてしまいたかったけどまた後日にしたいと思います。

ところで上の階の人の叫ぶ声(多分誰かと喧嘩してヒステリー起こしてる系)が時々聞こえるんですが、良い撃退方法を募集しております。

シャワー浴びてる時にいきなり聞こえると結構ビビるんです(汗)