アレ・モン・ココ

フランス・ボルドーでワイン醸造学を専攻する理系博士学生です。乳酸菌の研究をしています。https://note.com/cclemonde_345

インスピレーション・カムズ・オブ・ワーキング

こんにちは、サヨコです。

新型コロナのせいで相変わらず引きこもりの生活ですが、家にいる分自分と向き合って色々考える時間が取れます。

(今までもそういう時間はたっぷり取れていましたが笑)

今までずっと「生き方」について時間があれば考えてきたと自負していて、その時の状況によってブレブレの時もありますが最終的にはなんやかんや落ち着きます。

目下考え込んでいるのは「仕事の方向性」についてです。

 

 

まず最終的に何を求めるのか

一見すると矛盾した題ですが、最終的なゴールを設定するのは私にとってとても重要です。

その目標さえ見えていれば途中問題が起きても方向転換したり、新しい知見を得るための寄り道をしたり柔軟に対応できるからです。

ということで、ここ最近は私の人生をかけた最終目標について考えていました。

今のところ私の求めるものって『楽しい人生を送ってお墓に入りたい』なんです。

すごく利己的でいて、同時に他人も巻き込んで社会的に利益をもたらし得るとも思っています。

実はこれについては海外留学よりずっと前の大学1年生や2年生あたりから変わっていないので、私の人生の軸とも言えるのではないかな、と。

最も当時は「バンドって超楽しいじゃん!ステージ上で私の作った曲を演奏すると強烈に生きてるって感じがする!将来はミュージシャンになる!」なんて若々しい単純思考でした。

これは仕事に対しても求めていることで、自分の人生の中で相当の時間を費やすものですから対価として「自分が楽しめるような、そして私が私として生きていくための何か」を欲しいと思っています。

そこで私が選んだのが化粧品やお酒などの「娯楽」物でした。

 

 

希望する「生き方」と折り合いをつけるために

留学するくらいだから何か修行のためといった高尚な目的を持っていると思うかもしれませんが実はそんなことはなくて、特にお手本になるような夢も持っていません。

でも外に出ず日本に居続けたら絶対どこかで爆発するに違いないという確信はありました。

天邪鬼が極まっただけかもしれませんし、今でも理由はわかりません。

とにかく海外に行くためには現地の人と対等かそれ以上の力を持っていないと何も始められないと思い、仕事として日本で大学院まで学び続けた「研究」を選びました。

肩書きは学生です。

次に私の手持ちの微生物学の知識で戦えそうな研究内容を選びました。

それが化粧品(抗菌作用とか)とワイン(発酵とか)でした。

特にワインについてはテイスティングなどの前知識がゼロで、よく研究だけやってきた私のような人間を受け入れてくれたなと今になって強く思います(関係者ありがとう)。

 

 

ワイン界の新入りとして何もかも中途半端

ワインの世界に足を踏み入れると、自分の研究内容はもちろんそれ以外の知識や経験があった方が良いことが多くあります(他の業界でも同じかもしれません)。

まずワインを科学の視点から見るにあたり、そのベクトルの先を設定するためにはワインの消費者や生産者の立場になって何の情報に需要があるのかを知らないといけません。

この点は純粋な科学、例えば基礎研究のようにすぐには役立たないけど人類の知見を広げる役割を果たしているものとは異なり、ワイン界では応用研究の方がすぐに問題解決に役立つので好まれます。

日本の大学で基礎研究をやってきた身としては、このギャップに戸惑いました。

次に日本ワインを知る機会があったのですが、ここでもテイスティングやら醸造やらの知識がないと生産者と話にならないことがあり、研究内容以外の知識が必要なんだと痛烈に自覚させられました。

つまり研究技術があるというだけでは、ワインの世界では全く通用しないのです。

 

 

美味しいワインが飲みたい

ワイン界に入って2年も立たない若輩者ですが、醸造者とソムリエ、そして研究者はワインと消費者の間の架け橋としてそれぞれ大きな役割を果たしていることはわかりました。

過去に将来は研究者になりたいのか、それとも醸造の道に進むのかと聞かれたことがありますが、現時点では研究者の方が現実的かな〜と考えています(博士が終わる直前の自分にもう一度聞きたい)。

何れにせよ目的が立てられていないと何も考えられないので、「美味しくて感動的なワインを飲みたい、作りたい」というゴールを設定しました(急ごしらえ)。

 

 

将来日本に戻るのか、海外に残るのか

将来的に拠点をどこにするかは3年後の状況次第で正直未定です。

「美味しいワイン」を求める舞台を世界にするなら、研究の道や醸造の道どちらに進んでも海外に残った方が良いかもしれません。

というのも、研究面では日本とフランスを比較するとどうしてもフランスの方が最先端で軍杯が上がりますし、醸造の点から見ても歴史が圧倒的に違うのです。

ただ日本のワイン界の研究・醸造は発達途上な印象を受けますし、ポテンシャルも感じます。

究極的には日本と海外どちらのワインを好きになるのか、というところが指針の一つになるのではないかと思います。

さて視点を仕事から「生き方」に移しますが、長い時間を費やすことって何者にも変えがたい貴重な行為だと思っています。

それが日本でも海外でも、それなりの時間を過ごせばそれぞれ価値のある何かを築き上げます。

私生活の面で拠点を考えると、フランスで2年強過ごしたせいかもしかしたら日本も悪くないんじゃないかと。

フランスにいると私が日本について何も知らないことを知りましたし、フランスの嫌な部分も見えてきました。

留学前と比べると、「海外に出て挑戦したい」という欲は学位を取得してある程度満たされましたし、語学の壁や生活の勝手がわからない不自由さにとって代わるくらいの海外への憧れと日本への嫌悪感は薄くなりました。

冒頭で話した『楽しい人生を送ってお墓に入りたい』まで引いて考えてみると、日本7割フランス3割くらいで生活するのが理想かな〜なんて考えています。

 

 

結局なんだかフラフラしている感じ

ボルドー留学は博士課程を修了することを目標に奔走してきました。

ただアメリカのトランプ大統領新型コロナウイルスのせいで、スタート地点にやっと立てたのにまだスタートをきれません。

非常にもどかしくやるせない気持ちでしたが、アメリカの大統領もウイルスも私の一存で彼らの行動を決められません。

どんなにやる気があってもどうしようもないことがあるんだと、大学受験のようにやり直しのきかない残酷なことが人生では起こるんだなと、年明けはかなり落ち込んでいました。

その時期は本当に血迷ったことばかり考えていましたが、今はもう何も強くは望まないからどうか楽しく人生を全うさせて欲しいと願ってばかりです。

将来の活動拠点を具体的に考えられないのはこの挫折のせいかもしれません。

負けん気を見せる元気も出ず、流れに身を任せています。

その点、数年間仕事をしてキャリアを積んでから海外留学に挑戦する人たちの方が覚悟を決めて責任感も強いので、このような逆境にも強いのかもしれません。

 

 

それでも選択に後悔はない

「何を選んでも正解なんだと思う」と友人に言われたことがあります。

私がボルドー留学前に修士編入することを相談したときのことです。

本当にその通りで、曲がりなりにも自分の選択に責任を持って生きている実感はありますし、留学に挑戦したことだけは誇りに思っています。

そして去年までと年明けからとで考え方が変わった部分があり、3ヶ月未満という短い期間ではありましたが誰かと恋愛して深い関係性を構築していくことは精神的に大きなエネルギーになるんだと知りました。

留学生という身なので恋愛に関して諦めていましたが、こればかりはワガママになっても良いんじゃないかと自分を許せる(?)ようにもなりました。

ほら、フランスがコロナで外出規制を始めた初日にひとりぼっちで帰国するような心細い思いを自分にさせ続けるなんてあまりにも可哀想じゃないですか。

キャリアの面ではあまり進展できていませんが、私生活の面では考え方を大きくアップデートさせることができました。

 

 

 

 

結局自分を変えるためには選択して行動するしかないのでしょうか。

将来の自分がうまく立ち直ってキラキラしているといいなあ。

 

 

いつしか語学学校で10歳くらい年上のドイツ人が写真に収めたくらいえらく気に入った文章が、私のクリアファイルに書いてあるのを思い出しました。

 

Inspiration

comes

of working.

 

Imagination is more important than knowledge.

 

The purpose of human life is to serve and to show compassion and the will to help others. Creativity is the ability to introduce order into the randomness of nature. Life is an exciting business and most exciting when it is lived for others. You cannot do much about the length of your life, but you can do a lot about its depth and width.

 

誰の言葉なんでしょうかね?